NPO法人と公益法人の会計の違いとは?わかりやすく解説

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「NPO法人」と「公益社団法人・公益財団法人」は、どちらも営利を目的としない法人ですが、根拠となる法律も、適用される会計基準も異なります。経理担当者や税理士が異動や新規担当で両方の法人に関わると、「会計基準は何を使えばよいのか」「財務諸表の名前が同じなのに内容が違うのはなぜか」といった疑問にぶつかることが少なくありません。この記事では、NPO法人と公益法人の会計の違いを、根拠法・会計基準・財務諸表・財務三基準・税務の5つの観点から、初めて学ぶ方にもわかりやすく整理します。

NPO法人と公益法人、根拠となる法律と所轄庁の違い

まず大前提として、NPO法人と公益法人は、根拠となる法律そのものが異なります。

NPO法人(特定非営利活動法人)は、「特定非営利活動促進法」(通称NPO法)に基づいて設立される法人です。所轄庁は、主たる事務所が所在する都道府県の知事であり、事務所が一つの指定都市の区域内にのみある場合は、その指定都市の長が所轄庁となります。

一方、公益社団法人・公益財団法人は、まず一般社団法人・一般財団法人として設立された法人のうち、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(公益法人認定法)に基づき、行政庁(内閣府または都道府県)から公益認定を受けた法人を指します。つまり、公益法人は「一般法人+行政庁の認定」という二段階の仕組みになっている点が、NPO法人とは大きく異なります。

適用される会計基準の違い

NPO法人会計基準とは

NPO法人については、法律そのものには詳細な会計基準の規定はなく、NPO法人会計基準協議会(中間支援組織が中心となった民間の団体)が策定した「NPO法人会計基準」が、望ましい会計基準として広く用いられています。この基準は2010年7月20日に公表され、2011年11月20日に一部改正されています。内閣府の研究会も、この基準をNPO法人にとって望ましい会計基準として位置づけています。NPO法人会計基準は、他の会計基準の採用を排除するものではなく、法人の活動状況によっては公益法人会計基準などに沿った計算書類を作成することも可能ですが、その場合は注記でどの基準を採用したかを明記する必要があります。

公益法人会計基準とは

公益法人には、内閣府の公益認定等委員会が定める「公益法人会計基準」が適用されます。この基準は公益認定法に基づく行政上の仕組みと密接に結びついており、後述する「財務三基準」の判定とも連動しています。公益法人会計基準は2024年12月に大きな見直しが行われ(いわゆる令和6年基準)、2025年4月1日以後に開始する事業年度から新基準の適用が始まっています。なお、3年間の経過措置が設けられており、2028年4月1日以後に開始する事業年度からは、すべての公益法人が新基準の適用対象となる予定です。自法人がどの基準で決算を行うべきかは、事業年度の開始時期によって異なるため、顧問税理士に確認することをお勧めします。

財務諸表の名称が同じ「活動計算書」でも内容は異なる

NPO法人と公益法人の会計を比較する際に特に紛らわしいのが、財務諸表の名称です。NPO法人会計基準では、以前の「収支計算書」に代わり、法人の正味財産の増減原因をフローで示す「活動計算書」が作成されます。

一方、公益法人会計基準では、これまで「正味財産増減計算書」という名称が用いられてきましたが、前述の令和6年基準の見直しにより、名称が「活動計算書」に変更されました。つまり、2025年4月以降に新基準を適用する公益法人の「活動計算書」と、NPO法人の「活動計算書」は、名前は同じでも、区分の方法や記載内容の詳細は異なります。両方の法人に関わる経理担当者・税理士は、同じ名称だからといって構成が同一であると思い込まないよう注意が必要です。実際の表示区分や記載方法については、各法人が適用する会計基準の最新の指針を確認してください。

公益法人特有の「財務三基準」はNPO法人には適用されない

公益法人には、公益認定法に基づく「財務三基準」と呼ばれる基準があります。具体的には、公益目的事業の実施に要する適正な費用を超える収益を得てはならないとする「収支相償」、公益目的事業の実施に係る費用の合計額が全体の事業費用の50%以上であることを求める「公益目的事業比率」、そして使途が定まっていない財産(遊休財産)の保有額に制限を設ける「遊休財産保有制限」の3つです。これらは公益認定を維持するための基準であり、毎事業年度の決算時にチェックが必要になります。

これに対し、NPO法人は公益認定法の適用を受けないため、この財務三基準の対象にはなりません。NPO法人の会計監理は、特定非営利活動促進法に基づく情報公開(事業報告書等の提出・公開)が中心であり、公益法人のような数値基準による継続的なモニタリングの仕組みとは性質が異なります。

税務上の取り扱いは共通点が多い

会計基準や財務三基準には大きな違いがある一方、法人税の取り扱いについては、NPO法人と公益法人は比較的似た仕組みになっています。NPO法人は、特定非営利活動促進法第70条第1項により、法人税法上の「公益法人等」とみなされます。公益法人等は、法人税法第41条の規定により、法人税法施行令第5条第1項に列挙された事業(いわゆる収益事業)から生じる所得についてのみ法人税が課され、それ以外の所得には課税されません。公益社団法人・公益財団法人も同様に、収益事業から生じる所得にのみ法人税が課される仕組みです。

なお、ある事業が収益事業に該当するかどうかは、その事業が法人の本来の目的たる事業であるかどうかや、非営利性の有無では判断されず、法人税法施行令が定める事業区分に当たるかどうかで判断される点に注意が必要です。公益性の高い事業であっても、形式的に収益事業に該当すれば納税義務が生じる場合があります。認定NPO法人制度(寄付者側の税制優遇等)は、ここで述べた法人税の収益事業課税とは別の制度ですので、両者を混同しないようにしましょう。

まとめ

NPO法人と公益法人は、根拠法(NPO法と公益法人認定法)、適用される会計基準(NPO法人会計基準と公益法人会計基準)、財務三基準の有無など、多くの点で異なる制度です。一方で、法人税における収益事業課税の仕組みについては共通する部分が大きいという特徴もあります。特に公益法人会計基準は令和6年に大きな見直しが行われ、財務諸表の名称が「活動計算書」に変更されるなど、NPO法人会計基準との名称の混同が生じやすくなっています。実務で両方の法人に関わる場合は、どちらの基準・制度に基づいて会計処理・税務判断を行うべきかを都度確認し、不明点があれば顧問税理士や所轄庁に相談しながら対応することをお勧めします。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の会計処理・税務判断についての助言ではありません。実際のご対応、記事についての実務的なご質問は、顧問税理士・公認会計士または所轄の行政庁にご確認・ご相談ください。

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